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「はいはいはい、そうですか。分かりましたと。あなたが人類最後の乗船拒否者ですね」
少彦名は、ハアとため息をついた。
「どういうことですか?」
人類最後の乗船拒否って……。
「実はね、誰一人、巨大宇宙船に乗った人間はいないのです。世界中でですよ。一人も乗らないなんて。みんな乗船拒否だ。理由は、みんな同じ、赤塚健作の言った、『人間をバカにするのもほどほどしにろや!』です。わかりました。これで人類は、全員地球に残る、ということですね。一人生き残るよりみんなと死ぬことを選ぶのですね」
肩を上げて頭を左右に振る少彦名。
「みんなと死ぬことじゃないよ。愛する人たちと一緒にいることを選ぶんだよ」
私は、健ちゃんの手をしっかりと握った。健ちゃんもうなずく。
「はあ、たしかに僕たち神様連中は、人間を見放すところでした。まだまだ、人間も捨てたもんじゃないね。人間は地球にひどいことをすることもあるけど、愛は失っていないようだ。少し安心したよ。君たちにご褒美を上げないといけないね」
そう言うと少彦名は、空に向かって手を大きく回す。巨大宇宙船が上空に向かって進み出した。よく見ると周りから何隻も上空に向かっている。やがて、数多くの宇宙船が一カ所に集まって塊のようになった。さらに宇宙空間に向かって塊が消えて行った。
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