絶対秘密のアッコちゃん

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「これは、失礼しました。可愛いJKのおねえさんだったので、ついお茶目をしちゃいました。僕は、少彦名(すくなひこな)と言います」 「え! 少彦名って古事記に出てくる神様じゃないですか」 「はい。神様です。人類救出計画、日本担当をしています」  神様ということは、見た目は子どもだけど、お年を召された方ってことよね。 「あのう、少彦名……。最初の明日、小惑星がどうのこうのから意味が分かりません」 「分かりました。ご説明します。今この地球に小惑星が接近しています。ここまでは分かりますよね」 「はい」  私は、宇宙飛行士になる事が夢だ。小さい時から夜空を見たり、宇宙の図鑑を見たりするのが好きだった。 「その小惑星が、明日、地球と衝突します」 「え! そんなこと聞いたことありません! 明日って! 24時間後? ニュースで何も言ってないし」 「それは、隠しているからです。知っている人はごく一部ですがね。だってみんなが、明日人類が滅亡すると聞いたらどうなると思います?」 「パニックになるでしょうね……」 「そう。だからこの話は、絶対秘密ですからね」 「でもそれが事実なら一刻も早く、全ての人に知らせるべきでしょ」 「いや、そんなことをしたら、小惑星が衝突する前に、人類はパニックに陥って自ら滅亡しちゃいます。だから、僕たち地球神様連合会は、人類の一部を助けることにしました。それが、人類救出計画です。僕たちに選ばれた人間が、地球脱出用の巨大宇宙船に乗って、他の惑星に移住するのです」 「それって、聖書のノアの箱舟みたいな……」 「そう、イメージ的にはそうかな。で、人類全員が乗れる宇宙船は作るのが面倒くさいから……」 「面倒くさい?」 「あ、いや、資材が足りないんだよ。君たち人間は、かなり地球をいじっちゃったもんね。木を伐り過ぎたり、海を汚したり……」 「はあ……。自業自得というやつ?」 「うん。で、宇宙船に乗れるのは一部の人間になるんだけど。各務原あつ子さん、通称アッコちゃん。君はその宇宙船に乗る権利を得ました。おめでとうございます!」
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