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隣から「ねえ」と声がした。私はそっちを向く。きまりの悪そうな顔が私をまっすぐ見つめていた。またドキッとしそうになる。でも期待なんてしちゃダメ。
「……あの、ごめん」
「……いいわよ、別に。もう気にしてないし」
そもそも告白なんて私の勝手な思い込みだったわけだし、佐藤は別に悪くない。
……でも佐藤のやつ、本当にそんなことを言うために私を呼んだのかな。そういうことのために呼んだりするやつかな。
なんて、やっぱり期待したいのかな、私。
なんてことを考えてたら、佐藤はさっきよりも顔を赤くしながら「そうじゃなくて!」と私の手を握る。瞬時に心臓が跳び跳ねる。え、何この状況。
「あの、佐藤……?」
「ほ、ほんとは君が、小杉が好きって言いたかったんだけど、恥ずかしくて誤魔化しただけっていうか……。ほら今日エイプリルフールだし……。けど、やっぱり嫌いなんて嘘でも言っちゃいけないっていうか言いたくないって思って、それで卵ってことに……」
……ん? エイプリルフール?
あれ、今日って4月1日?
……そっか。そっかあ。
「……もう! 佐藤のバカ!」
私は大好きって気持ちを込めて佐藤を空いてる方の手で抱き締めた。佐藤が「ごめんね」と握っていた手をさっきよりもぎゅって強く握ってきた。
好きを言うのはまた明日。
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