好きを言うのはまた明日

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 朝の公園には人は少ない。休みだし、まだ朝が少し早いからかな。ベンチに座って佐藤は待っていた。 「さ、佐藤」  佐藤は顔を合わせる上げると、にこっと手を挙げる。私はその隣に座る。   「あの、何か、用だった?」 「あ、うん、まあ……」  歯切れ悪い喋り方。やっぱり告白?  でもなかなか口を開かない佐藤。かれこれ五分以上経ってる。私は痺れを切らして、もう自分から言おうと思った。 「あの!」 「あの!」  何で人が言おうとしたら話そうとするのよ! なんて、ようやく話してくれることに嬉しさを感じてはいるのだけど。 「そっちから喋ってよ」 「あ、いや、大したことじゃないから、そっちから喋って」  は? 大したことじゃないって……。 「何よそれ、大したことでもないのにわざわさ貴重な休み中に呼び出したわけ?」 「え」 「私今日見たいテレビあったんだけど」  春休みには欠かせない朝のアニメ見放題。 「あ、いや」 「それでもあんたが話したいことがあるっていうから時間削って来てるんだけど」 「あ、ああ」  一気に畳み掛ける。佐藤はしどろもどろになる。 「それとも何、からかったわけ?」 「いや、いやいや、大した話。そう、めちゃめちゃ大した話」  意地悪すぎたかな。でもわざわざ呼び出して話すようなことなんだから、きっととても大切なことなんだろうし……。 「じゃあ早く言って」 「え、あ、いや、その」 「もう! 歯切れ悪い。どもりまくり。言いたいことがあるならちゃんと喋る!」 「あ、はい、すみません!」  別に悪いことしてるわけじゃないのに謝る佐藤。 「謝罪はいいから、ほら、用件は?」  佐藤は俯いて両膝を手で押さえる。目を閉じて考え込んでいる様子だったが意を決したように私の目をじっと見て口を開こうとする。その瞳にドキッとした。 「あの」 「う、うん」 「俺、は」  それでも言いにくそうに言葉を区切る佐藤。スパッと言ってほしい気もするけど、でもやっと聞けるんだから。 「うん」 「きみの、ことが」  ドキドキする。まるで席替えのときにどの席になるんだろうかと考えてるときみたいな感覚。いや、それよりもずっとずっと、って当たり前だけど。 「うん……」 「ずっと……」  顔を赤くしながらその言葉をためらうような言い方。これはもう告白。早く言ってほしい。OKする準備はできてるから。 「うん」 「……大嫌いだった!」  口を開きかけて思考が一瞬止まった。私も、と言おうとした。でも想定していた言葉とは違う言葉が耳に入ってきた気がする。  今、何て言われたの?
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