さっそく起きた“偶然”

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さっそく起きた“偶然”

   覗いてみると、女生徒と数名の男子生徒がしゃがんで、落ちて散らばっている本を拾っている。      その男子生徒は、ルシオン王子と、護衛を兼ねた殿下のご友人であるリオス・リムラント 様とスカビオ・ストカーサ様。        リオス様は最高位の公爵家のご子息で、父親は宰相のひとり。    スカビオ様も同じく公爵家で、父親は軍の参謀を務めている。          本を落としたらしい女生徒は何度もお辞儀し、丁寧にお礼を言っていた。         「偶然を狙ってるご令嬢はたくさんいるってことなのよね…」     「まあ、そうでしょうね…」       「でも、もしルシオン王子とお近づきにならなくても、この学園には良家のご子息がたくさんいるんだから、なるべく交友関係を広げておくだけでもいいわよね」     「それができればいいわね。アリカの一番苦手なことかもしれないけど」     「うっ…」          そう。アリカ・アンセリウムは変わり者として有名で、小さい頃からあまり友人がいなかった。    それというのも…       「大体アリカは、思ったことをハッキリ言いすぎるのよね」   「だって、言わずにはいれないんだもん」          社交辞令が基本の貴族社会で、アリカは自分の想いや、相手に対して思ったことも、ズバズバと言ってのけた。      自分をさらけ出したことで、そこを突っつかれようとも、天然の独自の理論で言い負かしてしまうのだった。       「建前、っていうのも、時には大切なのよ」     「わかってるわよ。小さい頃からお父様やお母様、お兄様やエルセにだって、ずっと言われてきたんだから。頭ではわかってるんだけど、どうしても思ったことを言いたくてムズムズしちゃって…」     「まあ、そこがアリカのいいところなんだけどね。私はそんなアリカが大好きよ」     「エルセ~! 私もそう言ってくれるエルセが大好きよ~」    
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