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指先が痛い!
「痛ッ!」
料理の皿を運ぼうとしたら、右手の人差し指の先に鋭い痛みが走った。
「アリカちゃん。どうしたの? 」
お店おかみさんのユマさんが聞いてきた。
「なんだか、このあいだから指先が時々痛むんです。なにか刺さってるみたいな…」
「どれどれ? うーん、見ただけじゃよくわからないわね」
「そうなんです。自分でもいくら見てもわからないんです。でもたぶん、このあいだ割れたお皿を片付けたから、目に見えない破片が刺さってしまってるのかも」
「ああ、そうかもしれないわね。あとでよく見てあげるわ」
「すみません」
***************
お店が終わった後に、ユマさんにじっくり見てもらったけど、刺さっているものは見えなかった。
ある角度で、人差し指のどこかが触ると、ピリッと痛むから、どこか分からないけど刺さっているものがあるのだろう。
そのどこかを調べるために、何度も痛いところを押したりして、もうイヤになってきた。
「見えなくても刺さっているものは、体にとって要らないものだから、放っておくとそのうち、自然に出てくるものなのよ」
ユマさんが言った。
「出てくるんですか? でも、そのうち、ってどのくらい…?」
「さあ…。それは、数日か、1週間か、2週間か…? 」
アリカはガックリした。
刺さってるものが見えないから、出てくるのを待つしかないけど、それまでは当分、触るたびに刺激されるかもしれない痛みに耐えるしかないのだ。
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