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Ⅰ
静寂に包まれ
闇夜が広がる
夜空を見上げれば
満天の星空か
広がっている
二つの月が浮かんでいる
西側には紅い満月
東側には蒼い満月
周りを見渡せば
山 海 森 川 大草原の
大自然が広がっている
我々ホモ・サピエンスが住む
地球とは異なる この世界のこの場所に
塀に囲まれた
一つの大きな街があった
街の名は
【The city where the goddess was】
女神のいた街と言う意味である
この街では
本日から三日間
日が昇った夜のみ
女神の祝福祭が行われる
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この街の中央には
噴水がある大きな広場がある
祝祭の三日間
この広場では
1人の男に大役がある
この男が繰り広げる魔術が
名イベントである
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祝祭一日目
噴水前広場に
古い本を持った老紳士が現れる
既に大勢のギャラリーが
集まっていた
「ロス爺!!待っていました!!」
「ロス爺!!」
白髪混じり男
この僕の事を【ロス爺】と
民達は愛称で呼ぶ
街の祝祭の代役を
任せられている
この僕…ロウスである
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広場にある 本立てに本を置き
本に手を当てる
民達は本の読み聞かせなど
興味が無いのだ
これから行われる魔術に興味がある
「なんと哀れな…」
僕は誰にも聞こえない程の
小さな声で呟いた
本に乗せた手に集中する
眩い光が僕の身体を包む
歓喜の声を上げる民達
僕を包んだ光が
夜空に上がる
民達はそのまま顔を上に上げる
夜空に映し出されている映像には
酷く残酷な
映像が映し出されている
広場に居る民達が
その場にゆっくり倒れて逝った
街の中にいる者 1人残らず
ゆっくりと倒れて逝く
その光景を僕は
冷ややかな瞳で見ていた
そのまま
噴水の真ん中に立てられている
美しい女性の像に
目線をずらす
「僕もそろそろ
そちらに逝かせてくれ……」
フィリア…
君を永遠に愛してるよ
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