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冷たい雨が降り注ぐ、寒さが堪える冬間近な季節。
ネオンが輝く繁華街には、行き交う人達の傘の花が煌めき、活気付いている。
……しかし、ある男性だけは、心が沈み、青色混じりの黒いセミロングの髪から雫が滴り落ち、着ている服はぐっしょり濡れていて、細く華奢な体に纏わり付いている。
行き交う人達は、そんな男性には目もくれず通り過ぎて行く。
男性の名前は【穏】
【Acid Dark Cherry】と言う、ソロプロジェクトを立ち上げた本人で、総合プロデュースとボーカルを勤めているミュージシャンだ。
そんな凄腕のミュージシャンが、降り頻る雨の中、傘も指さずに繁華街を歩いているのか……。
それは……後輩ミュージシャンで、サポートメンバーとして加入した……【蓮】だ。
蓮は、穏とは公私ともに仲が良く、ミステリアスで厳つい見た目とは裏腹に、とても優しくて、繊細で、傷付きやすい一面を持っている。
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