新しい出会いは路地裏から

ダメ学生

　ろくでもない大学生活だった。そんな風にしてしまったのは、他でもない自分自身のせいなのだが。

　高校までは、それなりだった。特に優秀でもなく、かと言っていわゆる落ちこぼれでもない。授業は真面目に受講し、そこそこの成績を残し、放課後は友達とバカ話で盛り上がる。

　部活に入っていなかった僕は、大きな感動や失望は特になく、まさしく『それなり』に高校生活を過ごしていた。

　高校２年の夏休み前。3者面談で、これからのことを聞かれた。正直、何もなかった。憧れる職業、なりたい自分。はっきり言って皆無だった。

　何とかその場をやり過ごした僕は自分と向き合うことなく、日々を過ごした。結局、自分の成績で無難に行けそうな某大学の理学部を受験。見事、合格。

　親は僕以上に安心していた。一方の僕は何の感慨もなかった。

　熱くなることもなければ、冷めることもない。単なる成り行きで、僕は大学生になった。