新天地

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 引っ越し業者は近くの個人業者にお願いした。ネットで検索し、数件の候補から見積もりを取り寄せたところ、そこが最も安価だった。  荷物はそんなに多くない。ほとんど捨ててしまったから。テレビや冷蔵庫などの電化製品と、段ボールが数個。片づけてしまえば、これっぽっちになった。  新居はここから駅2つ離れたアパート。築5年でまだ新しい。しかもここより1部屋多く、トイレも風呂も別だ。市中心部から少し離れるので、家賃はここより少し上がる程度。ありがたい。  引っ越し前日。僕は今まで散々やり続けたゲーム機の類を全て売った。状態は良くないが、まだ使える。せっかくならば、誰かに使ってもらった方がゲームも喜ぶはずだ。  中古買取店の店員に一式を渡す。今までのゲームとの思い出が、否応なしにも思い出される。  悲しい現実だが、ゲームは僕の青春だった。夜な夜な同じ時間を共にし、食事も寝るのも一緒だった。  恋人か!?  そうツッコまれても、反論できない。それくらいの関係だった。いけない、思い出すだけで泣きそうになる。  売却はあっけなく終わった。占めて3万円ほどの金額を握りしめ、僕はゲームとおさらばした。  店を出て、空を見上げた。透き通る青空が目の前に広がる。  本当に今までありがとう。  大切に使ってもらうんだよ。  いかん。また涙が溢れてきた。
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