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商売繁盛?
ホーガスト地区に鉄道を通す事業を起こし、無事に開通した。まだ短い路線だが、馬で走るよりも快適な旅が出来る。
そしてその鉄道により、新たなる商売を起こす事になった。
鉄道は山間部を走らせるだけの短い路線。
しかし鉄道の線路や、鉄道を停車させる為の駅を造る為に、線路を挟んだ山を二つ購入した。
痩せた土地であり、物流の運搬にも一苦労の土地。
元々買い手がなく、苦労もなく手に入れた。
そこで先ずは石炭が採れた。
石炭は最近注目の燃料だ。それを採掘し、鉄道で山の麓までは線路を渡したトロッコで運び出し、麓から山の入口の村まで鉄道を使って運ぶのだ。
この時点で、2つの会社を立ち上げるようになった。
しかし事態はこれで収まらなかった。
石炭を採掘している山で、キラキラした大きな石が同時に見つかった。
元々採掘場やその麓の川などで、普通と色合いの違う石があるのは発見されていた。
しかし今回発見された石は、両手で持ち上げる程の大きさ。そして石の真ん中に空洞があり、そこに紫色の綺麗な石がある物だった。
採掘時に石が割れ、中身が見えた事で発見された。
コレを試しにミリーに見せてみた。
「あら、アメジストだ〜。やっぱりこれだけ大きいと綺麗ですねぇ」
「アメジスト?」
「はい。宝石といって、アクセサリーなどに加工出来るのです。ネックレスとか指輪とか…」
ちなみにこの世界に『宝石』というものは無かった。
金や銀はある。しかしあまりアクセサリーとしては使わない。
「あ…もしかして山の下の川にキラキラした石とかあります?『宝石』って綺麗にカットすると輝いて素敵なアクセサリーになるんですよ〜」
ミリーの話によると、漂砂鉱床と言われる、キンパー岩が風化で砂になった場所に『ダイヤモンド』と言われる『宝石』があるらしい。
そしてそこに砂が流れる為の川。そこにはそのキラキラした『ダイヤモンド』の原石があるので、籠を使って浚うと採れる。
「現地の方の収入源にもなりますね」
ピロートークには生々しい儲け話だったが、放置するには大きな話だった。
ミリーは抱きしめた腕の中で、相変わらず何気ない話としてはなしている。
私の胸元を指先で『ガリガリ〜…と採掘して…』とカリカリして、『ダイヤモンドは砂を吸い上げて探すようですよ?』と、カリカリしていた所を吸い上げた。
可愛い仕草に、つい笑ってしまったのは割愛する。
その後もアメジストを初めとする水晶やダイヤモンドなどの原石をカットする方法等を聞き、新たなる課題の大きさに少し頭を抱えた。
この時点で、宝石を採掘した時に買い取る為の会社。そして加工する工場。販売元。これで計5社。
流石に並行して会社を起こすのは厳しい。
そこで何人か、いざとなったらミリーの味方としても大丈夫な人選を行う事にした。
そして会社の運営はその者に任せ、統括する会社に私が治まる。
そういった人海戦術は、我が家の執事であるナーマスを主として行うことにする。
「商工会とかあったら、みんなの意見で街での商いもより良いものになるんでしょうけどねぇ。」
という意見は、実は近いものがある。ナーマスに聞くとそう話していた。しかしこれは、街のボスでもある『ある女性』と繋ぎをとる必要があった。
私の可愛い姫は、無意識に私をワーカーホリックに落とし込む天才のようであった
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