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その時、玄関が開く音が聞こえた。
「あ、母さんが帰ってきたかな?」
「お、おばさんになんて報告をすれば…」
湊が不思議そうに首を傾げる。
「え?普通に言えば良いんだよ。」
「普通にって、あんたねぇ…」
湊が部屋を出て、階段を降りていく。
「母さん、おかえり。
ちょうど今、氷華ちゃんが来てるんだけど。
俺達、付き合うことになったから。」
「ちょっと湊!?本当に普通に言うなんて…!」
さらりと言う湊の後を、氷華は転びそうになりながら、大慌ててで追いかける。
「あら~!今日はお祝いかしら?
あ!氷華ちゃん、よく来てくれたわね!
って、どうせ二人して私を驚かせようと企んでるんでしょう?エイプリルフールだし。」
「違うよ。本当に俺達、付き合うことになったんだ。
それとエイプリルフールは午前までだよ、母さん。」
「あらあら~本当の本当にお祝いみたいね~!?
湊を昔から知ってる氷華ちゃんなら大歓迎よ!」
湊の母は、まるで乙女のように大喜びではしゃいでいた。
「だってよ、氷華ちゃん?
母さんのお墨付きだよ。」
「お互いに顔見知りでよくわかってる分、今後揉めなさそうなのは助かるけど、何とも複雑なところね…。」
「どうせだからこのまま氷華ちゃんの家にも言って、おばさんに伝えにいこうよ。」
「ちょっ、湊~?」
喜ぶ湊母を放置して、湊が玄関を出る。
湊は人が良い分、暴走しがちで、目的を遂行するまで止まらない所がある。
氷華の家に行って、湊が母に報告して、今度は氷華の母が気絶しそうなほどに大層喜んだのだった。
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