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隣の家の湊の家。
インターホンを鳴らした時、他の家族は留守だったのか、湊が出た。
『氷華ちゃん、どうかした?
さすがにさっきの事があったから、俺も傷ついてるんだけど…。』
「湊、謝りたいから、直接話せる?」
インターホンから何も返事がないと思われた矢先、直接、湊が外に出てきた。
「氷華ちゃん。」
涼しげな顔をしているが、よく見たら目が赤い。
まさか、泣いたのだろうか。
あの泣いているところを見たことがない湊が。
「ここでは何だから、湊の部屋で話せる?」
「…わかった。」
氷華は湊に案内される。
家が隣同士と言えど、家に上がるのは何年ぶりだろう。
湊の事が好きだとわかって、意識するようになってから、家には気安く上がれなくなった。
しかし昔と雰囲気は全く変わらない。
湊の部屋は小綺麗に整頓されて、でも妙に落ち着く。
きょろきょろと見回す氷華に、湊は苦笑した。
「取って食べたりしないから、そこら辺にでも座っててよ。俺は飲み物でも…」
氷華はブンブンと首を振る。
「それこそ、気を使わなくて良いわ。
さっきの話だけど、私も嘘よ。
彼氏が出来たって言うのは。」
湊が目を瞬いた。
「…そっか。安心した。」
基本ポーカーフェイスなので表情がわかりにくいが、安堵しているように見えた。
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