幼馴染みも塵も積もれば

7/10
前へ
/10ページ
次へ
 隣の家の(みなと)の家。 インターホンを鳴らした時、他の家族は留守だったのか、(みなと)が出た。  『氷華(ひょうか)ちゃん、どうかした? さすがにさっきの事があったから、俺も傷ついてるんだけど…。』  「(みなと)、謝りたいから、直接話せる?」  インターホンから何も返事がないと思われた矢先、直接、(みなと)が外に出てきた。  「氷華(ひょうか)ちゃん。」 涼しげな顔をしているが、よく見たら目が赤い。 まさか、泣いたのだろうか。 あの泣いているところを見たことがない(みなと)が。  「ここでは何だから、(みなと)の部屋で話せる?」  「…わかった。」  氷華(ひょうか)(みなと)に案内される。  家が隣同士と言えど、家に上がるのは何年ぶりだろう。 (みなと)の事が好きだとわかって、意識するようになってから、家には気安く上がれなくなった。 しかし昔と雰囲気は全く変わらない。 (みなと)の部屋は小綺麗に整頓されて、でも妙に落ち着く。  きょろきょろと見回す氷華(ひょうか)に、(みなと)は苦笑した。  「取って食べたりしないから、そこら辺にでも座っててよ。俺は飲み物でも…」 氷華(ひょうか)はブンブンと首を振る。  「それこそ、気を使わなくて良いわ。 さっきの話だけど、私も嘘よ。 彼氏が出来たって言うのは。」 (みなと)が目を(またた)いた。  「…そっか。安心した。」  基本ポーカーフェイスなので表情がわかりにくいが、安堵(あんど)しているように見えた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加