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熱い…
頭が痛い…
なんか、寒気が止まらない
寂しい…
前にもあったな…こんなこと…
まだ母さんが家にいた頃かな…
ずっと、ずっと、仲の良い家族だと思ってた
母さんが浮気してることなんて知らなかった
父さんがそれを知ってて、2人の仲はとっくに冷め切ってるなんて知らなかった
オレの前では仲の良いフリして、ずっと仲良しこよしな家族を演じて…
母さんが出て行った後にも、家には母さんの痕跡が残ってて…
楽しかった時も、嬉しかった時も、寂しかった時も…
家に残ってる物を見ると思い出してしまう
全てがハリボテだったんだってわかった後でも、あの人のことを思い出して…
胸が締め付けられるくらい痛かった…
こんな気持ち、こんな、最悪な気持ち、二度と味わいたくない…
だから、必要以上に近づかないようにしてたのに…
誰かと仲良くならないようにしてたのに…
ズケズケ遠慮なしにオレの中に入って来やがったくせに…
海斗なんて、嫌いだ…
こんな気持ちを思い出させるアイツなんて嫌いだ…
嫌いなのに、会いたくて仕方ない
側に居て欲しくて仕方ない
こんな気持ちになりたくないから、アイツのモノは一切置かないようにしてたのに…
シーツに包まっているだけでアイツのことを思い出してしまう
寝落ちる直前にいつも頭を優しく撫でてくれる感触を…
熱のせいで涙腺がバカになってるのか、涙が溢れ出てきて止まらない
寒くて仕方なくて、自分の吐息でシーツの中を温めて暖をとった
手足の先端が冷たくて、擦り合わせても暖かくならない
首も、額も熱くて仕方ないのに…
瞼が異様に重くて、目を開けていたくない
目を閉じていると、海斗の笑ってる顔を思い出してしまってイライラする
ギュッとわざと強く目を閉じて、アイツの顔すら思い出さないようにした
「バ海斗…あんな奴、好きになんかなってない…」
自分に言い聞かせるように言葉にするも、それと同時に涙が溢れ出てくる
寂しい…
寂しくなんてない
会いたい…
会いたくない
頭を撫でて欲しい…
期待させんな…
側に居て欲しい…
もう、オレのことなんて要らないくせに…
浮かんでは消えていく言葉
海斗の顔が浮かぶ度に否定し続け、いつの間にか眠りに落ちた
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