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3. 過去と今
今日から、クラスで学級活動が行われる。主な内容は、自己紹介や係決めだ。
私が最も不得意なのが皆の前に立って何か物事をする事だ⋯。
今からでも逃げ出したいくらいの恥ずかしさと緊張を抱えながら自己紹介がスタートした。
「それでは、窓側の列の一番前の人から初めてください。」
「「はーい」」
他の生徒は皆、嬉しそうだ。
その声を遮るようにギギーっと椅子を引く音を立てた女子がいた。
一気に静まり返る教室。
そして、皆の視線に動じない姿は、とてもカッコよく見えた。
「名前は、青木紗彩です。好きな事は、サッカーをする事です。よろしくお願いします。」
紗彩ちゃんのお陰で、良い感じのペースでどんどん進んでいく。
あっという間に四人の紹介が終わり、次は前席の人の番だった。
「俺の名前は、火龍真琴です。好きな事は、アニメを見たりスポーツをする事です。よろしくお願いします!」
まこと⋯君!?
もしかして、中谷小学校に通っていたあの?⋯。
いや、でも苗字が明らかに違う。人違い⋯だよ。
せっかく再会出来たと思っていたのに間違いだった事が少しショックだった。
ぼーっとしていたら、トントンと机を叩かれている音がした。私は、過去から今へ引き戻され、慌てて立ち上がった。
そして、皆からの痛い視線に気付く事無く
「初めて、岡松萌寧と言います。好きな事は、読書と編み物です。よろしくお願いします。」
と、挨拶をした。すっごく心臓がバクバクしていてまるで走った後のようだった。
三十分ほどかけて、全ての生徒の自己紹介が終わった。やっと、肩の荷が少し降りた気がする。
「はい、皆さんありがとうございました。次は、係決めをしたいと思います。
委員会は主に、環境委員会・保体委員会・学習図書委員会・文化委員会・常任委員会です。
黒板にネームプレートを貼ってください。」
他の人たちは、どんどん黒板に貼っていっているけどほとんどが仲の良い人と一緒になっていた。
(えーっと、どこにしよう。)
とりあえず、学習図書委員会にネームプレートを貼った。本に囲まれていると落ち着くから。
席に着きメンバーを確認してみると、明日香ちゃんと凜人君、そして真琴君が同じだった。
「明日香ちゃん、同じ委員会だね!」
「そうだね!
でも、学習側に入ろうと思ってるんだ〜。」
「そうなんだ、私は図書にしようと思ってる。」
「お互い、希望の方になれるといいね!」
「そうだね!」
そして、グループ事に席を作り話し合った結果、
凜人君と明日香ちゃんが学習委員会で私と真琴君が図書委員会に配属された。
念願だった図書、とっても楽しみだ!
「萌寧さん、これからよろしくね。」
「うん!よろしくね!」
その後、仕事内容を聞いて解散した。
話し合いの内容をまとめると、
図書室のカウンターをしたり、本を棚に戻したり新しい本を運ぶ作業をするらしい。
大変かもしれないけれど、真琴君と協力してこれからの委員会を頑張りたいと思った。
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