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4. 図書室と放課後
結局、火龍真琴君は大迫真琴君なのか⋯?
まだ、分からないままその疑問を脳裏に浮かべていた。
入学式から3週間が経ち、今日から図書委員会の仕事が本格的に始まる。
私は、帰りの会を終え、準備を済ませた。
「萌寧さん、準備終わったー?」
「うん、今終わったよー。おまたせ。」
「じゃあ、行こう。」
2人で、図書室へと向かう。歩いていると、
「ね、萌寧さん。」
「どーしたの?」
「俺⋯萌寧って呼んでもいいかな?」
いきなりの質問に戸惑う。でも、(大迫)真琴君だとしたら今頃、萌寧って呼んでくれているのかな?なんて、ね⋯。
「うん、全然いいよー。」
「ほんとに!ありがとう⋯萌寧!」
「うん!」
あっという間に、図書室へ着いた。息を整えて、扉を開けると先輩方が笑顔で出迎えてくれた。
「それでは、揃ったようなので集会を始めます。
姿勢、礼。」
「「お願いします。」」
一気に空気が変わり、先輩方の背中がとても大きく見えた。
「では、する事は説明を受けていると思うので、今から当番の日を各クラス事に決めてもらいます。五分ほど話し合ってください。」
「萌寧、いつがいいとかある?」
「うーん、出来たら放課後がいいかな⋯とは思うよ。」
「了解。」
スムーズに決まっていく。やっぱり、進行役の人が一番大変なんだと思った。
「それでは、話し合いをやめてください。出た案を発表してください。」
「二、三年生は意見が合い昼休みがいいと言う意見です。」
「分かりました。では、一年生はどうですか?」
手を挙げるのに戸惑っていると、
「はい、俺達一年二組は放課後を全て受け持ちたいです。一組は、お昼だそうです。」
「分かりました、ですが大変ですよ⋯大丈夫ですか?」
「はい、きっちりと仕事を覚えて必ずお役に立つことを約束します。」
真琴君、すごくかっこいい。それに、受け答えが上手だ。
「分かりました、では一年二組を信じて任せます。よろしくお願いします、早速ですが今日の放課後から出来ますか?」
「「はい、もちろんです!」」
私は、真琴君と一緒に返事をした。
そして、先輩方も曜日を決め終え静かになる。
「これから、大変だと思いますが委員長の桜華凛達と共に頑張って行きましょう!
よろしくお願いします!!」
「「「はい!」」」
全員の気合いが入った声が放課後の図書室に響いていた。
「今日は、解散です。姿勢、礼。」
「ありがとうございました。」
私達は、ホッと一息付いた後司書の先生に声をかけた。
「今日から、放課後担当になりました岡松萌寧と」
「火龍真琴です。」
「「よろしくお願いします!」」
2人で頭を下げる。
「はい、よろしくね。
まずは、パソコンの扱い方と本棚の説明からしますね。」
「はい。」
多くの仕事内容を頭に叩き込んだ。なんとかなりそうだけど大変だ。
「はい、今日はここまでだよ。お疲れ様、また明日からは本格的な仕事を頑張ってね。」
「「はい、ありがとうございました。」」
お辞儀をして、図書室を後にした。
「お疲れ様〜!疲れたね!」
「そだね、覚える事がいっぱいだよー。」
「うん、一緒に頑張ろ!」
「ファイトー、オー!」
元気な姿を見て思わず笑ってしまった。
「あははー、あははー笑」
真琴君もつられて笑っている。
「ハハハ、ハハハ笑」
「何かわからないけど、久しぶりにこんなに笑ったかも。」
思わず、呟いた。
「そう、なのか?」
「うん⋯。お話、少し聞いてもらえる?」
「もちろん、いいよ!」
そう言って、頷いてくれた。
「私ね、小学校の頃に仲良くしていた男子がいてその子と離れる事になったの。私の父が学校教師をしていて転勤がちょうど重なったんだよね。なにも話を聞かされず、いきなりでショックを受けてたの。でも、その子が言ってくれたの。
また、必ず会えるから!って。でも、5年経った今でもその子に会えず⋯なの。」
「そっか、でもいつか会えると思うよ俺が保証するから、ね?」
(えっ、このセリフ⋯。(大迫)真琴君と同じだ。どういう事なの⋯。)
「う、うん。ありがとう。
そろそろ帰らないとだね。」
「だね、良かったら途中まで一緒に帰らない?」
「いいよー。」
「ありがと。」
二十分くらい歩いて、それぞれ別れる。
「じゃあ、また明日。」
「うん、ありがとね。」
手を振る。
家の方向が私の家から十個次の路地らしく、あっという間に姿が見えなくなった。
今日の放課後は、複雑な気持ちで終わった。
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