2-fool

2/3
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
ーーパシュッ! 「20マッチポイント14!」 ーーキュキュッ 「……ふぅっ」 ーーーパシュッ! 『ピーーーーッ!』 「マッチウォンバイ烏合・千羽ペア!21-14」 審判役の生徒が笛を吹き、手を伸ばして試合終了の合図を出す。 「……やりぃ〜〜若。」 蓮が掌を上げ、フゥッと息を吐く千羽へハイタッチを要求する。 パンッ! 「はぁ、久しぶりだから疲れたぁ…結局2ゲームしちゃったし」 千羽はそう言いつつコートの隅のシャトルを拾うと、先程まで撃ち合っていた相手チームの部員へと手渡す。 額にほんの少しだけ滲んだ汗を半袖シャツの肩の布地でくい、と拭った。 「サンキューな、若。……やっぱ、お前とだとやりやすいわぁ……。 若とのダブルスが一番合ってるんだよな俺」 体育館の端に移動し、蓮から借りたトレーニングシューズから上履きへと履き替える千羽。 「蓮は上手いんだから…誰とでも大丈夫だって」 「いやそんなことない。相性ってあるじゃん?若、お前ならわかるだろ。 ……なぁ?やっぱりさぁ、男子バド部入れよ。若、おまえ、勿体無いって」 千羽はその言葉に、中学の時の部活動を思い出す。 幼なじみの蓮と共に、バドミントン部で練習に明け暮れた日々。 ラケットのグリップを握ればワクワクと心が躍り、手首をかえすたび張られたガットの奏でる風の音と、肌に当たるその小さな感触がとても気持ち良くて。 跳ね飛ぶシャトルを追いかけコートの端から端までジャンプできるのでは無いかと思えるくらい、小柄で瞬発力に長けた身体はいつも、生き生きと喜んでいた。 「中学ん時みたいにさぁ…一緒にやろうぜ? 俺と若のダブルス、負け無しだったじゃん。ほら、さっきだって。 ーーーなぁ、若」 「…………」 確かに、バドミントンはとても楽しい。 しばらくぶりのミニゲームで、準備運動も無しでしかも制服のまま…… どうなることやらと思ったが、自分でも驚くくらい身体は軽く……まだまだ現役、と胸を張れるほどの俊敏な動きをやって見せることができた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!