1-fool カッコ、怖い。

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「ーーー今のが、基礎だよ。 今日補習でやったところは、それがただ応用になってたり、グラフで表して求めるとか……そんな大して難しい物でもないからさ。 全部、きちんと順番にやっていけば、解けるようになるよ。大丈夫。」 名取場のわかりやすい説明により理解できたためか、わりとスッキリした様子の千羽を見て、名取場はノートを閉じた。 「ーーーほんっとにありがとう。 おかげでかなり分かった気がする…名取場って、ほんとすごいな。 おれ、こんなにわかりやすく教えてもらえたの……初めて」 ーーーキュン…… 千羽の話す言葉の一字一句に、きゅんきゅんと胸のときめく音が響き渡り、名取場はクラクラとする頭をなんとか抑える。 (うぅっ…むっ、胸が苦しい… 千羽くん…きみの初めての何かになれたなんて俺本当に光栄だよありがとう千羽くんもう俺なにもいらない千羽くん) 「あれ?でもさ………そんなに、教えるの上手だし全部わかってそうなのに。 名取場、なんで今日の補習受けてたの? ……本当に赤点?」 ーーギクゥッ! 「あっ、い、いやぁ、その。 ーー……実は俺、本番に弱くてさ……。 いざテスト、ってなると頭の中、真っ白になっちゃうんだ。それで、まあ。」 「ふぅん……」 少し苦し紛れではあったが、理由としてはあり得る線だろうと思い名取場は気まずそうに説明した。 「緊張しちゃうんだ?大変だなぁ…。 ーーまあでも、おかげでおれは勉強教えてもらえてすごく助かったもん。 おれ、今日の補習、出て良かった!だって……名取場と知り合えたし」 ーーキュウウゥッ! (くっ、苦しいーーー…っこれがまさに本当のキュン死に………。 いや、まだだだめだだめだ。まだまだ死ねない……せめて千羽くんのこのキュートな全身を熱くホールドしてわしゃわしゃとその可愛い頬にすりすりしてもらって………) 「こっ、こ、こちらこそ……。 あっ、あの、いつでも、これくらいならまた教えてあげられるから。 また、次の補習の時にでも!ま、任せて。」 「えっ……また補習出るつもりなのか?それ、期末テストの? いや次は頑張ろうよ、俺も頑張るからさぁ……」 (しまった、また会いたい思いが強すぎて…… 次も赤点取る気満々だったのがバレてしまう。) 「そっ、そうだね…。 千羽くん。あ、ありがとう、頑張るよ」 「うん。頑張ろーな!」 (嗚呼、千羽くん可愛すぎるよーー 好き好き好き好き好きーーー……) ーーーそんなに補習出るの好きなのかな、名取場って、なんか変わってるなぁ……? 千羽は不思議そうにしながら、あれ?そういえば、とはっとする。
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