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波瑠は、絶望的な気持ちになった。
負けた、ということは、渋谷課長を西京華津世に渡すということだ。
しかし、新条が、言った。
「別に、めんつゆでも、いいんじゃないか。美味しければ」
「はあ?」
西京華津世が、腹立たしそうに、声をあげた。
「そんなの料理には、ズルに決まってるじゃない!」
「いや、今回のお弁当対決は、単純に美味しい方の勝ちだろ?」
「そ、それは、、」
西京華津世は、歯ぎしりをして、黙った。
そして、新条が言った。
「、、と、いうことで、勝者は、奥さん。だから、、」
新条は、隣で、この様子を唖然と見ていた渋谷課長を、いきなり抱き上げた。
「うわっ! な、何をする!? 新条!」
渋谷課長は、突然のお姫様だっこに、驚いて叫んだ。
「いや、課長の奥さんに、勝利の贈呈をしようと」
そう言って、波瑠に、渋谷課長を渡そうとした。
その様子を見ていた、都市計画課の前にいた『渋条を愛でる会』の腐女子たちが、悲鳴のような歓声を上げた。
「きゃー、BLよ! 攻めが、受けをお姫様だっこよーーー!!!」
渋谷課長は、もうパニックになって、新条に叫んだ。
「いや、いや、さすがに無理だ! 新条! 下ろしてくれ!」
渋谷課長が、冷や汗をかきながら、言った。
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