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西京華津世は、そう叫ぶと、涙を流した。
「あたし、あたし、ずっと子供の頃から、剣にぃのことが、好きだった、、。剣にぃを追い掛けて、県庁にも入ったのよ」
ん?
波瑠は、どうも、二人の関係が分からなかった。
この緊迫した状況で、尋ねるのも、どうかと思ったが、新条に訊いてみた。
「あの、、お二人は個人的な関係が?」
新条が答えた。
「ああ、、そうなんです。華津世は、いとこです」
ええ?!
「そんなことは、どうでもいいのよ!あたしは、いとこだろうが、何だろうが、剣にぃが、ずっと好きだったの!」
西京華津世は、叫んだ。
「それなのに、剣にぃは、男の渋谷課長と付き合ってるのね! だから、あたしは、渋谷課長に復讐してやろうと思ったのよ」
「え?」
波瑠は、今一つ分からなかった。
「えっと、、つまり、西京さんは、新条さんのことが好きで、うちの渋谷とは、付き合ってはいない?」
「ええ、そうよ! くやしいから、あなたたち、夫婦ごと苦しめてやろうと思ったのよ!」
そこで、やっと、この状況に驚いて、固まっていた渋谷課長が、口を挟んだ。
「待ってくれ。私は、新条とは、個人的な付き合いはないし、そういう恋愛感情などない」
ええ?
つ、つまり、渋谷課長は、全然、浮気をしていない???
渋谷課長は、咳払いをひとつすると、恥ずかしそうに、言った。
「それに、私は、何よりも、妻の波瑠を愛している」
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