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波瑠の驚きに、気付かない新条は、波瑠を抱き上げたまま、呑気そうに言った。
「じゃあ、このまま都市計画課まで行こうか」
「ええっ?!」
新条は、波瑠を抱き上げたまま、歩き出した。
県庁の北館七階、都市計画課に着いた。
道中、お姫様だっこされた波瑠は、注目の的だった。
「下ろしてください、、」
そう頼み続けた波瑠に、新条は言った。
「だって、腰が抜けたままなんだろう?」
そう、、。
波瑠は、まだ腰が抜けたままだった。
そして。
ついに、渋谷課長のいる、都市計画課に着いたのだ。
新条は、波瑠をお姫様だっこしたまま、部屋に入った。
都市計画課の職員は、二十名程いたが、皆が、波瑠と新条を見て、驚いていた。
渋谷課長、、。
波瑠は、渋谷課長を探した。
渋谷課長は、一番前のデスクで、真剣な表情をしてパソコンを打っていた。
「渋谷課長!」
波瑠は、渋谷課長に会えた嬉しさで、思わず叫んだ。
渋谷課長は、パソコンから顔を上げた。
ああ!
やっぱり、うちの旦那様は、仕事の出来るイケメン!
波瑠は、あらためて、仕事をしている渋谷課長に惚れ直した。
「波瑠?! どうしたんだ?」
渋谷課長が、新条にお姫様だっこされたままの波瑠を見て驚いて言った。
「渋谷課長、、お弁当を届けに来たんです!」
それを聞いた、新条が目を丸くした 。
「お嬢さん、もしかして、渋谷課長の奥さん?」
ざわつく都市計画課。
その時、部屋の一番隅のデスクにいた、若くて可愛らしい女性が、勢いよく立ち上がった。
勢いがよすぎて、椅子が、派手な音を立てて、後ろにひっくり返った。
「西京君、大丈夫かね?」
渋谷課長が、心配そうに声を掛けた。
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