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この女が、噂の西京華津世か!
その西京華津世は、いきなり、走って、新条にお姫様だっこされている波瑠の前に来た。
近くで見ると、西京華津世は、ボブのツヤツヤしたストレートの髪に、これまた、はち切れそうにハリのある若々しい肌をした、モデルのような、可愛らしい女だった。
ただ、とても、気が強そうだった。
その西京華津世が、新条に叫ぶように言った。
「剣にぃ、、いえ! 新条課長補佐、何してるんですか?! すぐに、その女を下ろしなさい!」
波瑠は、その剣幕にビックリして、腰が治ってしまった。
「新条さん、、腰、治ったみたいです」
「あ、そうか」
新条が、波瑠を下ろした。
その波瑠に向かって、噛みつくように、西京華津世は、言った。
「渋谷課長の奥さんですか?! 渋谷課長は、子供じゃないんだから、お弁当を届けに夫の職場まで来るなんて、非常識です!」
「ええ、、?」
波瑠は、西京華津世の剣幕に、押されっぱなしだった。
その西京華津世が、続けて言った。
「大体、大したことないお弁当を、わざわざ届けに来るなんて、自信過剰もいいとこよ!」
これには、波瑠も、黙っていられなかった。
料理は、波瑠の唯一の特技なのだ。
それを、バカにされては、いくら大人しい波瑠だって、黙ってはいられなかった。
波瑠は、西京華津世に向かって、言った。
「悪いですけど、まだ若いあなたに料理の腕で負けるとは、思えないわ!」
それを聞いて、西京華津世は、不敵な笑みを浮かべた。
「じゃあ、勝負しましょうよ。わたしのお弁当とあなたのお弁当のどちらが、美味しいか!」
「ええ! いいわよ!」
波瑠は、その場の勢いで、言ってしまったが、自分の料理には、実力ではない秘密があることを思い出して、ドキドキした。
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