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「そのお弁当対決判定人、あたしが引き受けるわ!」
そう、凛とした声がした。
波瑠が、振り向くと、ミナミが仁王立ちしていた。
そうだった!
都市計画課には、親友のミナミがいたのだった。
こんな、力強い味方はいない!
しかし、西京華津世は、ミナミを一瞥すると、言った。
「南主任は、渋谷課長の奥さんの親友でしょう? フェアじゃないわ!」
むむっ!
ミナミが親友であることまで、バレている。
西京華津世は、新条を見て、言った。
「剣にぃ、、いえ、新条課長補佐が、お弁当を食べ比べて、どちらが美味しいか、決めて下さい!」
西京華津世の命令のような提案に、新条は、困惑した表情になった。
「いや、俺は関係ないから、やはり、渋谷課長が、決めるべきだろう」
「何言ってるんですか?! 渋谷課長だったら、奥さんに勝たせるに決まってるじゃないですか!」
渋谷課長は、この思いもしない展開に、動揺して言った。
「西京君、ここは、仕事場なんだから、そういうことは、、」
その渋谷課長を、西京華津世は、睨んで、叫んだ。
「渋谷課長は、黙ってて下さい! これは、女同士の真剣勝負なんです!」
「え、、はい、、」
渋谷課長も、西京華津世の剣幕に何も言えなくなってしまった。
そして、西京華津世は、波瑠に向かって言った。
「この勝負に勝った方が、渋谷課長を手に入れるんです!」
「は?」
渋谷課長は、ポカンとしていたが、波瑠は、秘密の料理道具で作ったお弁当が負けるはずない、と強く自信を持って言った。
「いいわよ!」
そして。
丁度、昼休みになった。
何故か、都市計画課の部屋の前に、女子職員の人だかりが出来ていた。
波瑠は、何ごとかと、ミナミに訊いた。
ミナミは、言った。
「ああ、あれが、『渋条を愛でる会』の腐女子たちよ。昼休みになると二人を見に来るのよ」
それから。
大勢の観客の中、渋谷課長を賭けた本妻と不倫相手の女同士の、お弁当対決が、始まった!
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