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いっしょに暮らすなんて無理。相手がラビくんとか関係なく無理。襲われるとか思ってるんじゃなくて普通に無理。無理無理無理。無理に決まってる。
びろびろに伸びて肌馴染み抜群な部屋着に、色気皆無機能性重視の下着。平安時代ならワンチャンあったかも? な幸薄いすっぴんは先週からしぶとく居座るニキビのせいで、もはやどの時代からも需要は尽きた。
こんなの他人に晒せるわけがない。漫画やドラマの主人公はよっぽど女子力高くて肌が強いの? 普段からどんだけ家のなかでキラキラしてんの? うっかりこう、動いた弾みでおならとか出ちゃわないの?
こんなの全力拒否の一択だ。これが現実世界だ。
「あのさー。喧嘩すんのはぜんぜんいいんだけど、これずーっと鳴ってんだよね。電話じゃね? あ、切れた」
海晴は着信音の切れたあたしのスマホをソファーから拾い上げ、ぷらぷらと宙で揺らした。
まずいやばい死ぬ。
全身がひゅっと縮み上がり、急いでスマホを奪いとる。手のひらでぎゅっと隠したツナくんのアクキーは、「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。でもどうしても欲しいんです」と葛藤したのち、転売ヤーから定価の三倍価格で買い取ったものだった。
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