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「バッキバキなせいか、反応悪くて。タップしてもスワイプしてもなかなか反応しないんだよね。ふふっ……ウケる」
くすくすこぼれる笑い声が、凍りついたあたしの背中を煽るようにぶつかる。
画面が割れたのは事故なの? なにしたの? 真っ黒アイコンが瞼に浮かんで、ぞわっとした。
だけどまだ、るなちが掲示板を見たかどうかはわからない。もしかしたら見てないかもしれない。あたしはわずかな可能性に希望をかける。
「えっと……。どうしたの? なにかあったから電話くれたんだよね?」
おそるおそる訊くと、るなちは笑うのをやめて黙り込んだ。
ああ、これは見てる。きっと見てる。ぜったい掲示板を見てる。
スマホ越しでも伝わる空気が、ズンとのし掛かる。こういうときってなんて言ったらいいんだろう。さっきの陸人みたいにあたしの唇もむずむず動くけれど、その先に言葉はなかった。
困り果てたあたしに、るなちがつぶやく。
「……返してほしい」
「え?」
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