7人が本棚に入れています
本棚に追加
「返してほしい! 時間もお金も、ぜんぶぜんぶぜんぶ! ぜんぶ返してほしい! なんであんな女たちに晒されてんの? そりゃラビくんだって男だし、さすがになにもないとは思ってないよ? でもよりによってあんな、あんな女なんかとっ……。最悪だよ」
「るなち……」
大好きだったのに。ぽつりとつぶやき、るなちは口をつぐんだ。無言の咆哮が胸にずっしりのしかかって、あたしはますます言葉をなくした。
るなちはミケラビ結成時からずっとラビくんを応援してきた。時間やお金を物差しにするのも違うかもしれないけど、ラビくんを想ってラビくんを追いかけて、ラビくんをなにより優先してきた三年間があったことは事実だ。
やっと元気になってきたところで、どうしてこうなっちゃうんだろう。もっとあたしといっしょに心中して欲しかったと思ったけれど、こんなことは望んでなかった。
ばかだ。
ツナくんじゃないだけまだよかったなんて、あたしはとんでもなくばかなことを考えていた。
「ぜったい……だよ」
ふいに、るなちがなにかつぶやいた。よく聞こえなかったあたしは、え? と訊き返す。
最初のコメントを投稿しよう!