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物心ついたころからメイクに興味をもった海晴は、女のあたしよりもずっとメイクがうまい。それは認める。だけどなんでギャルなんだ。ギャルイコールポジティブマインドってイメージなのかもしれないけど、睫毛を二枚重ねようと、ルーズソックスをずるずるずるずる引きずろうと、果てしなく髪をハイトーンにしようと、ツナくんはいない。ツナくんは消えた。それはもうまごうことなき事実。
バケツ半分ほどになったポテトをつまんでいると、スマホが鳴った。シュポンシュポンシュポン。テニスのラリー音によく似た着信音が、ただただ一方的に鳴る。タイシからのメッセージだろう。あたしは塩でじょりじょりになった指先をスカートでざりざり拭って、スマホをタップした。
『あと二週間でポメ誕だけど』
『バースデーイラストは?』
『構図考えた?』
『あたし考えてたんだけど公式がさっき上げたシバのバースデーイラストと丸被りだった……』
『はーどうしよ』
『間に合わん』
『むり』
『きつい死ぬ』
『気づかなかったふりしていい?』
『だれか気づくかな?』
『気づくよね?』
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