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「吐きそ?」
雄樹君が安全運転してくれてるおかげで
「ううん、今は大丈夫…だけど」
赤信号で車の中を見渡している
「あーごめん、ねーかも、どした?言って」
「ぇ…あの…んっと…匂いが…欲しぃ…雄樹君の」
「……ヤバ…、ほら」
彼が左手を目の前に持ってくる
「かっ片手運転危ないからいいょ…」
手を返そうとすると恋人繋ぎでぎゅっと握られた。
「あっ」
急にキュンとさすなよ
「危なくなったらすぐ戻す。直がいいだろ」
「ぁ…ぅん…ぁりがと…」
手を自分の鼻の近くに持ってきてクンクン匂わせて貰う
いい匂い
落ち着く匂いだ
ヤバい思わずスリスリしそう
「可愛い…」
「へっ!?ごめんっ」
既にスリスリしてたらしい
「いいよ俺はお前のもんだから」
彼も辛いはずなのに
あんな雄樹君初めて見た。
彼は抑制剤も効かないのに
俺と向き合ってくれてる
今、俺達は共に同じ状態を分かち合ってる
運命共同体ってやつ
車に乗る時に『一緒に我慢な』って言ってくれたことがすごく嬉しくて今更こいつにキュンキュンさせられるなんて思ってもみなかった。
病院に着くと既に何故か連絡がついてたようで
先生が点滴を打って応急処置をしてくれた。
「うん、抑制剤の飲み過ぎだね。かなり過剰摂取してたみたいだ。身体が変わって色々気持ちと追いついてなかったんだろうね。責めないであげてね。危なかったけどもう大丈夫」
「…先生、ありがとうございました」
あ…雄樹君が敬語使ってる…
なんだ…できるんじゃないか
安心したら俺は意識を手放した。
「それと…大事な話があるんだけど、
君はこの子のパートナー?」
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