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『いーい?怖い時はこうやってお手手を繋ぐと心が安心するでしょ?』 『おててぇ?』 『そうよ、だから何かあったらすぐママが玲のお手手を握ってあげるわ』 『うん!ママのおててだいすき!』 『おいおい、パパの手の方が大きいぞぉ?』 『うん、おっきい!パパのおててもだいすき!』 手を握るとこの世の不安の全てが無くなるようで そして繋いだ相手と同じ思いを共有してくれる気がして すごく安心した 『可愛いなぁ、玲は。離したくないなぁ』 『パーパ、玲も大人になったら愛する人ができるんだからぁ…とても寂しいわ』 『だろ?ママ』 『ボク、ママとパパとずっといっしょにいるね!』 あの頃は天国だった 普通の家庭 平凡な暮らし 何不自由のない生活 大人になっても平凡な大人になって 平凡に結婚して普通の家族ができる 俺はそれで十分だった だけど そんなもの 一瞬で崩された。
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