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こんなにずっと叫ばれたのも初めてで 全ての声が槍になって胸に突き刺さっていく 痛い 胸がすごく痛い 俺は雄樹の何を 見てきたんだ 「愛されてるようなセックスじゃない。もうとっくに愛してたから。ちゃんと愛してるセックスだったわけ」 なんだ俺は自惚れてよかったのか 愛されてたのか とっくにずーっと前から それに向き合おうとしなかったのは俺だ 「俺…自分なりに結構頑張ってたんだけどな」 そんな寂しげに笑うなよ 心のどこかで分かってたはず でも勇気がなくて目を背けてきた結果がこれだ 「そんなの…早く…言えよ」 「言ったところで海外に行くんだから、寂しい想いをさせるのはどっちみち一緒だし。だからそれまで俺を待っててくれるんだったらそれまで俺も頑張ろうって思ってた。だからこの前終わりにしようって言われた時すっげー焦った。やっとちゃんと帰ってきて言おうと思ってたのに」 なんだコイツの方が大人だったのか
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