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俺様同期の榛名は赤城君と秘密の残業中です
バチっ!
骨と肉がぶつかる音がした。
バチっ!
もう一度。
「う、ぅ」
頬を抑えて榛名が唸った。
見上げた先にいるのは同期入社の赤城だ。
見たことのない冷たい顔で榛名を見下ろしている。
ほんの数分前まで、二人は逆の立場だった。
「赤城、お前、こういうの好きだろ?」
榛名は赤城の腕を絞め上げて壁に押し付けていた。
赤城は色白で柔らかく、小柄なこともあり、どことなく頼りない印象の男だった。体格の良い榛名とは正反対で、同期の中ではあまり目立たない存在だ。
頼み事も断らず、いつもニコニコしている赤城は人受けが良い。女子社員からはいわゆる『安全牌』として、男らしさからは程遠い場所にいた。
榛名はそんな赤城をいつも意識していた。
過去に、酔った勢いで一度だけ、赤城を後ろ手にして、掴んだことがあった。その時の表情は、榛名を欲情させ、ふつふつと沸き立たせるものを持っていた。
だから。
榛名はまた、赤城にそれをした。今度は両腕を束ね上げ、壁に押し付けたのだ。
「お前のその顔、すげえよな。俺にこんなことされて、嬉しいの?」
「榛名くん、ごめんね。ちょっとだけ、手、離して。」
とても静かな声だった。
「離して下さい、だろ?」
「離して、下さい。」
少し震えたような声の赤城を確認すると榛名は手を離した。
その、瞬間。
パンっ!
大きな音だ。
そしてもう一度。
赤城の平手打ちは、よく響く。
パァンっ!
「榛名くん、それで僕を喜ばせてるつもり?」
しっとりと柔らかく白い手で、榛名の顎を前から掴むと、グッと力を入れ、押し出す。
「・・・・!?」
榛名は後ろによろけ、驚きとともにその場に手をついた。
見下ろしているその目は、榛名の体の隅々までゾワゾワとさせた。
赤城は床に倒れた榛名のそばに寄り、ネクタイを引いて立ち上がらせる。とても強い力だ。
「君のやり方で僕が喜ぶとでも思ったの?ただの自己満のオナニープレイでか?自称ドSの榛名くん」
大きな榛名は中腰の状態で、赤城と顔を向かい合っていた。ネクタイを持つ手をパッと離され、崩れ落ちた。
「ねえ、君は自分が主導権を握っていると思ってたの?あはっ!もしかして、本気で『俺はドSだ』なんて思ってたの?だとしたら、君は本当にお馬鹿さんだね。んふふふ・・・」
「赤城・・・?」
赤城は榛名の髪の毛を掴み、顔を眼の前まで近づけた。
「僕は、君に許可を出したか?触ってもいいと、許可を出したか?」
「許可?そんな、」
「許可したか?」
「し、してない。でも、あんな態度・・・」
「君は、僕に触っていいか聞いたか?」
「は?そんなもん・・・」
パチン!
「聞いたのか?触ってもいいか、僕に聞いたのか?」
「き、聞いてない。」
「君は全くわかってない。あんなに仕事ができるのに、本当に、鈍くて、何も知らない、お馬鹿さんだね。」
「・・・・」
「ねぇ、君はさ、僕たち同期の中で一番の出世頭なんだよ。凄いね。とっても頑張っているものね。僕の自慢の同期だよ。」
掴んだ髪を離し頭を撫でると、榛名は戸惑いの表情で目を泳がせる。
「僕はね、君みたいなハイスペックな子が、一番好きだよ。」
頭を撫でたその手は耳を捉え、親指が耳の内側の深い溝をなぞると、榛名は次第に崩れ始める。
「ぁ、は・・・ぁ」
「なんだ、榛名くん、やっぱり君はそちら側じゃないか。」
「ち、違う・・・、んぁ、あ・・・」
「違う?そう、残念だな、せっかく君を楽しみたかったのに・・・なら、もうやめてあげる。」
榛名の耳を撫でていた手を離すと、赤城は立ち上がる。
「あ・・・」
あっさりと引いた赤城の態度に、榛名はとても驚いている。そして、その驚きよりも、赤城のしたことへの自分の反応に驚いている。
「二回だよ。」
「え?」
「二回。君が僕を絞め上げたのは。」
「あ・・・ああ、喜んでたじゃねぇか、おまえ・・・」
クスッ
「だって、君がしたかったんだろ?アレを。だから、許してあげたんだよ。僕が、仕方なく、君に、許可を、出したんだ。」
また近寄って、一言づつ、榛名の眉間から人差し指を添わせゆっくりと、下ろしていく。
鼻筋、鼻先、上唇、下唇、顎先、そして、顎の下を通り、首の小さな丘にたどり着く。
「やめろ・・・」
ゴクリ、と、小さな丘は動く。
クスッ
「なら、力ずくでやめさせたらいいじゃない。拘束されてるわけじゃないんだよ。ねえ?このままだと、この下まで、行っちゃうよ?」
赤城の指はネクタイの結び目を越え、ワイシャツのボタンに沿ってみぞおちのあたりまで来た。
榛名は黙って、だけど抵抗もせず、唇を噛み俯いている。
「・・・ふざけんな・・」
震える榛名をじっくりとたどり、下った指はベルトの上で止まった。するとパッと指を離し赤城はため息をついてそのまま出入り口に向かう。
「赤城・・・?」
振り返った赤城の顔は、いつもの柔らかくかわいい印象とは正反対だ。広角がニッと上がり、目は少しつり上がっている。
「残業、終わったから、僕帰るね。榛名くん、手伝ってくれてありがとう。また、明日、ね。」
「え・・・?!」
オフィスの赤城のデスクは、少し奥まったところにある。残業を押し付けられて残っていたところを、榛名が見かねて手伝っていた。
隣で一生懸命、健気に頑張る赤城を、少しからかって、自分の欲を、ぶつけた。抑えきれず、ぶつけただけ。赤城も喜んでいると、思っていたのに。
「あいつ、何なんだよ・・・」
榛名は説明できない体の震えを必死で抑え込もうとしていた。
翌日、赤城はいつものように、いつもと同じ顔で、いつも通りだ。
頼み事を断らない赤城は、また、残業を押し付けられていた。女子社員の中にはそうやって赤城を扱うものがいる。
「貸せ。そっから全部、俺がやる。」
「榛名くん、こんな雑務、君の仕事じゃないよ。」
「いいから、貸せって。」
クスッ
社員の帰ったオフィスのフロアは広く、節電のためほとんどの照明が消されている。奥まった場所の赤城のデスクはスタンドライトだけがついていた。
白い光に照らされた赤城の透き通るような肌に、榛名はつい、見惚れてしまう。
「はぁ、終わった。榛名くんのおかげだよ。ありがとう。」
赤城は榛名に手を伸ばし、ふわりと頬をなでた。
「・・・っ!おい、やめろよ・・・」
榛名は立ち上がり、体をかわした。
クスッ
「なんでだよ。この前のも、お前、俺にされて喜んでたんじゃねぇのかよ。」
クスッ
「ぬるいよ。君のやり方は、ヌルいんだよ。凄く。」
「は?」
「本気でしたいなら、僕が、骨の髄まで、しっかりと、教えてあげるよ。まあ、怖いなら、無理にとは言わないけどね。」
「ふざけんな、やれるもんなら、やってみろよ。」
バンとデスクを叩き、手をついたまま赤城に抗議した。
クスッ
「榛名くん、それは僕にお願いしているの?」
「・・・は?何いってんだよ。」
「困った子だなぁ。」
赤城は立ち上がり、ペン立てから指示棒を抜くと、キュッと伸ばして右手に持った。デスクに手をついている榛名の左後で止まる。そして、腰のあたりを押さえ、腕を振り上げた。
「いくよ。」
風切音がして、赤城の手がしなると、それは澄んだ音を立てた。
ピシィッ!
「ぁ!はぁっ」
その鞭は、大きな体の榛名の尻を一発で仕留めてキラリと光る。打たれた榛名の膝が折れ机に突っ伏した。ふるふると震える尻を赤城は優しく撫でる。
「あのね、してほしいことがあるときは、きちんと、はっきりと、お願いしないといけないよ。」
「こんなこと、頼んでない・・・」
はぁ。
ヒュッ、指示棒の鞭が風を切ると、榛名の体がビクッと反応する。
ピシィッ!
「あっぁあ!ん、ん、」
クスクスッ
「大きな声だね。恥ずかしくないの?そんなに喜んで。ああ、お仕置きなのに、君にはご褒美みたいだね。困ったなぁ。」
「なんで・・・なんで、こんな・・・」
「なんで?んふふふ。そんなことも気づかないでいたの。本当に君はかわいいね。仕事ができて、逞しい筋肉に大きな体、顔も申し分ない。だけど、お馬鹿さんで、いじめてほしくてたまらない。とっても僕の好みだけど、そんな目でずっと見てちゃ、みんなにバレちゃうよ。榛名くん。」
「なに、いってんの・・・?」
「まだわからないの?これでも?」
すでに変化していた榛名の、はち切れんばかりのソレを、赤城は横から指示棒の柄でグリグリといたぶる。スリムなスーツのズボンは榛名のもので盛り上がり、とても苦しそうだ。
榛名の顔はとろりと溶けて、赤城を喜ばす。
「なんだかすごくいい顔をしてるね。嬉しいなぁ。」
赤城は指示棒を外すと、今度は尻の間から手を前に滑り込ませた。ズボンの上から榛名の根本の柔らかい膨らみを包み込み、やさしく練り上げる。
ぃ、ぁ、あっ、んはぁっ、
デスクの袖にしがみつき背中を反らせ、思いのほか反応の良い榛名だ。柔らかい膨らみの先の、みっちりと硬くなったソレは、力強く中から圧迫し、ズボンの縫い目をギチギチと広げてしまう。
スイッチが完全に入った。
しっかりと切り替わったのを確認すると、赤城は手を離した。
「榛名くん、仕事は終わったよ。コートを、着なさい。それじゃ電車乗れないでしょ?」
「・・・へ?・・・え?、ぃや。待って・・・」
「聞こえた?早くしないと、僕、帰るよ。」
あわてて榛名はコートと荷物をとった。
しかし、うまく歩けない。足に力が入らないのだ。
「おい、ちょっと、待てって。」
「榛名くん、それは、命令?それとも僕にお願いしているの?」
俯く榛名に赤城の視線が刺さる。
「だったら、なんて言うのか、わかっているよね?」
「ま、待って・・俺を、俺を、おいて・・行かないで。」
クスッ
「してほしいことがあるなら、きちんと、お願いしないと、いけないよ。わかる?」
「・・・はい。」
「いい子だね。さすが、僕の榛名くんだ。じゃあ、君は、僕に、どうして欲しいの?言ってごらん。僕には、全部、言っていいんだよ。」
あ、あの、俺・・・俺は・・・・・
薄暗いオフィスの奥で、榛名はまた、声を上げた。
残業はもう少し、長引きそうだ。
End
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