ウソをつく程仲がいい

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四月一日。 生徒会室。 桜の香りと暖かな光に包まれた部屋の中で、一人机に突っ伏して寝息を立てる。 全開の窓からは入学式の準備をする生徒会メンバーや、手伝いに駆り出された運動部員の声と一緒に桜の花びらが舞って入ってくる。 穏やかな陽気と程よい雑音は昼寝に丁度いい。 うつらうつらしていた意識がゆっくりと遠のいて俺は夢の中へと足をふm 「またサボってんのか?」 顔を上げると見知った面が視界に入る。 「ヒカル……、悪いか?」 「生徒会長がサボっちゃダメだろ、ケイ」 ヒカルは俺の隣に腰を下ろす。 生真面目な運動部長のこいつは正直苦手だ。 サボり魔の俺とは正反対で気が合わない。 だのに、こうしてよく絡んでくる。 「ま、俺もサボりに来たんだけどなっ」 「うぜぇ、帰れよ。邪魔」 「んなこと言うなよ、俺たち友達だろ?え、違うの?」 笑顔が眩しい。 こいつといると意見が合わない事が多いし、なんだか落ち着かない。 けど、そんなチグハグな感じが悪くない。 「ちげぇよ。バカ」 だから嘘をつく。
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