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「やっぱ相園も誘ってやればよかったんじゃねーの?」
体力測定でも見たことない速さで逃げた幼馴染を羊が眺めていれば、よっちんが憐れんだ声で言う。
羊と小夜が幼馴染で、高校生になっても一緒に登下校する仲だと知っている周りの奴らも、比較的に小夜に同情的だ。
それらの声を無視して、羊は床に置かれた己のスクールバッグを見下ろす。
「嫌に決まってんじゃん。小夜は無理」
はっきりと言い切って、羊は床で小さく萎んだかばんをゆっくりと拾い上げる。
周りも小夜への同情は一過性のもので、すぐさま話題が変わる。
羊は手にしたかばんを見下ろして、小さく笑った。
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