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結論を言うと。
彼女はその後、一年も絶たずして病死した。今まで何の検査にも引っかからなかったのに、突然脳と肺と胃と腸と肝臓が全部駄目になったという。あまりにも不可解な症状だったらしい、ということしか親族からは教えて貰えなかった。
私に、何かできることはあったのだろうか。
あの音の正体はわからない。ただ、何か“よくないもの”が彼女の荷物に紛れてついてきていた。問題があったのはあの部屋ではなく彼女自身だったのだということは今でもわかる。
そして、現象の心当たりもないわけではない。
『あああ、これ、これですよ廃病院!廃墟マニアの中でも有名なんです。中は崩落してるしぐっちゃぐちゃで危ないので入れなかったんですけど、建物の敷地までは行くことができて。なんでも、この病院にはお医者さんにいじめられて自殺した看護師さんの幽霊が憑いてるらしくて、その無念を訴えるべく病院に近づいた人に憑りついてずーっと傍にいるんですって。放置するとそのまま体を壊して……』
『そっれー!それですそれ!魔除けのお守りとして、よくわかんないおばあさんに貰ったんです!貴女は呪いを受けてるからこれで防ぎなさいとか言われてたんですけど、引っ越しの準備してる時に落として割っちゃって。あ、これ、その胡散臭いおばあさんとのツーショットなんですけどね!?』
彼女の遺品を整理しても――あの廃病院の写真だけは、最後まで見つからなかったと聞く。
私は確かに、その写真を見たはずなのに。
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