また隣で笑って

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 昼休みになると、男子は大抵運動場に出てドッジボールやサッカーをしていた。女子は教室で話したり校庭で縄跳びをしたり。  僕はというと、皆でわいわいとはしゃぐタイプではなかったから、図書室に行っては好きな本を読んで過ごしていた。ここでなら誰にも邪魔されないし、ゆっくりできるし、落ち着く。そんなことを思っていた。  一人の時間は好きだった。  僕はいつも同じ席に座っていた。特等席ってやつだ。座り心地がよくてあまり人も近づかない。それがよかったのに。 「本が好きなの?」  いつものようにいつもの場所で本を読んでいるときに、声をかけられた。思わず顔を上げると、彼女の顔があった。その手には5冊の本が抱えられていた。シリーズものらしかった。 「……別に」  そっけなく答えた。それが彼女との最初の会話だった。
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