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着いた時にはもう夕暮れ。
あっという間な時間だった。
それ程夢中で楽しかった、私にとっての初デート。
(もう終わっちゃうんだ…。風雅くんと一緒にいるの。)
歩き続けると早織と待ち合わせした公園にもうすぐ到着する。
(離れなきゃ)
と少しずつ風雅と距離を離そうかと思うと風雅の手が沙羅の肩に置き、引き寄せる様に更に距離が縮まる。
「え…あの…」
「もう少しこのままでいさせてくれ。」
戸惑いながらも沙羅はこの安らかな居心地を噛み締めていた。
桜が散っていく道をさっきよりゆっくりな歩行で、時だけが進んでいく。
そして公園に到着。
終わっちゃった。
「あの、今日は色々とありがとう。」
「それはこっちのセリフだよ。凄く楽しかった!デート相手が君で最高に良かったよ。」
と嬉しそうに笑顔で答える風雅に沙羅の心がズキンと痛かった。
(……もう会えないのに。嘘ついているのに。)
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