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風雅は頭をかきながらも、ぎこちない様子だった。
「…エイプリルフールだからといって、騙してすまなかった。一昨日に二人が食堂にいた時、隣で聞いてしまったんだ。」
と風雅が社会人らしい口調で説明し、その後早織も追加で説明する。
「制服デートを約束したその後に先輩が『頼む!その日に変わってくれないか?』って言われたの。
そしたら入社してからの沙羅を何度か見かけていく内に、少しずつ惹かれていったんですって。
折角の沙羅とのデートだったけど、先輩は真面目で優しいから沙羅に良いかと思ったし、そっちの方が面白そうだと思ったの。
でもまさか先輩も高校生になるとはね。
めっちゃ違和感なかったけど。」
「おい、佐川さん。」
少し恥ずかしそうな様子の風雅だったが、涙を流したままの沙羅はまだ呆然として顔を見つめている。
「沙羅。昨日は最高に楽しかったし、一緒にいて時間を忘れてしまったから、真実を言うタイミングも外して…」
その瞬間、風雅は何も言えなかった。
沙羅が風雅を抱きしめていたのだから。
「良かった…。本当に風雅君だ…。」
…少し間が空いた後に、
「…本当にごめんな…。不安にさせちゃって。」
…と風雅も強く抱きしめ、幸せを噛み締めていたが…
その瞬間にパシャっとスマホカメラのシャッター音が…
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