嘘からの始まり

4/5
前へ
/20ページ
次へ
風雅は頭をかきながらも、ぎこちない様子だった。 「…エイプリルフールだからといって、騙してすまなかった。一昨日に二人が食堂にいた時、隣で聞いてしまったんだ。」 と風雅が社会人らしい口調で説明し、その後早織も追加で説明する。 「制服デートを約束したその後に先輩が『頼む!その日に変わってくれないか?』って言われたの。 そしたら入社してからの沙羅を何度か見かけていく内に、少しずつ惹かれていったんですって。 折角の沙羅とのデートだったけど、先輩は真面目で優しいから沙羅に良いかと思ったし、そっちの方が面白そうだと思ったの。 でもまさか先輩も高校生になるとはね。 めっちゃ違和感なかったけど。」 「おい、佐川さん。」 少し恥ずかしそうな様子の風雅だったが、涙を流したままの沙羅はまだ呆然として顔を見つめている。 「沙羅。昨日は最高に楽しかったし、一緒にいて時間を忘れてしまったから、真実を言うタイミングも外して…」 その瞬間、風雅は何も言えなかった。 沙羅が風雅を抱きしめていたのだから。 「良かった…。本当に風雅君だ…。」 …少し間が空いた後に、 「…本当にごめんな…。不安にさせちゃって。」 …と風雅も強く抱きしめ、幸せを噛み締めていたが… その瞬間にパシャっとスマホカメラのシャッター音が…
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加