第十五章 女王蟻 五

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 それは、珠緒ほどに、人間からかけ離れたものだろうか。  遺伝子の操作もあるが、きっとそれでもないだろう。 「こっちの遺体は、死因は老衰。だが、とても若い」  しかし、何の能力を持っていたのか分からない。 「この子は、多分、身体能力が高かった。ここに保管されている子供は、何かはある」 「…………この辺に、集中しているという事は分かりました」  しかし、食により人間も変わるのだろうか。 「女王蟻のように、食によって変化した子供。それは、現在にも存在しているのか?」 「わかりません」  ライトが探しているという事は、何かの記録はあるのだろう。  俺が女王蟻だと思った子供は、死んでいなければ、とんでもない存在になっていただろう。 「一族婚ではダメですか……」 「違うのですよ。でも、それは参考になる個体です」  俺的には、美女がいい。しかし、こpこにある個体は、男ばかりだ。 「食の可能性。食により、女王蜂や、女王蟻になるのかという事か……」  雄でも、栄養を与えられれば、繁殖する雄になる。しかし、寿命はとても短い。何かに特化した子供達も、一様に短命だった。 「ライトさんは、でも、その可能性が低いと知りつつも、美食家に提供する」 「そうですね。それが商売でもありますから」  ここに保管されている者は、成功例ではなく、失敗例なのかもしれない。 「こっちは珍味だ。幻の魚」 「それは、本物の珍味ですね」  ライトの言動からすると、優秀な遺体を探していたわけではなく、食により女王蟻のように進化した者を探していたのだろう。そして、ライトは自分が正しいという根拠を欲しがっている。それは、同時に自分の行いに迷いもあったからだろう。  しかし、どう進化しても、人は人にしかなれない。 「女王蟻が優秀とは限らない」 「でも、他の個体とは違っている」  与えられた栄養価で、役割の違った個体が出来上がるというのは不思議だ。  だが優秀というものではなく、栄養というのは毒で、何かのスイッチを壊す役割を担っていたのかもしれない。そうすると、人も壊れる事で、別の能力が発揮できる。 「この学園には、様々な国から子供が来ています。そして、可能性を伸ばしている」 「普通だったら、潰されてしまう個性を、伸ばそうとしているのか……」  個性というのは、人を生き難くもする。それに、社会にとっては、有害にもなる。だから、凄い個性でないのならば、普通に生きられるようにした方がいい。 「食により、生き物は大きく成長したり、小さくなったりする。つまりは、それが環境への適合。その一つの可能性として、管理された食を続けると、人は食への興味を無くし、次の次元へと変化する」  だがライトは、その次元を拒否し、食により進化する未来を夢見た。 「…………この場にいると、よく理解できます。否定はしません」 「それは、どうも」  美食家とは、食の中で、美味と感じるものこそが、人の本能を呼び起こし、生命や心を揺るがすと考える集団の事らしい。 「俺はいつも、食べて感動」 「そうですね。だから、進化を続けている」

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