虹色の明日

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 「もしもし?」  私は"ゴメンね"と、顔の前に手をやって柏谷くんに背を向けた。  『あー…今、運転中?』  「ううん、サービスエリアで休憩中」  私は怒っていることを伝えるために、わざとにぶっきらぼうに答える。  すると一星が『あのさ…さっきは悪かった…』と、素直に謝ってきた。  しかし、腹の虫がおさまらない私は「本当よ…なんだったの?」と、柏谷くんを気にしながらも、口調を強めた。  『うん、俺さ…実はコロナになっちゃって…』  思ってもいなかった返答に、私は「え?」っと自然に声が漏れた。  『だから~…コ・ロ・ナ!』  一星は私が聞こえなかったと思ったらしい。  口調を強めて再び告げた。  「えぇー?熱は?大丈夫なの?何よぉ~…さっき、そう言ってくれたらよかったじゃない…」  私がそう言うと、一星は「言ったら帰らなかっただろ?……母さんにも…それにばーちゃんにうつしたらマズイっしょ…」     あぁ、それであの冷たい態度?  私にうつさないようにするための配慮?  電話口の向こうで、一星がゴホゴホと咳をする。  「そんなこと…バカだね…」  不器用な一星の優しさに触れて、涙が次々に溢れ出す。    『熱はさがったから…作り置きのオカズ助かった。サンキューな……それだけ』    そう言って、プツリと通話が終了した。  それからすぐに『気をつけて帰れよ』のメッセージが届いた。  私は、スマホ画面のその文字を眺めてフフっと笑って泣いた。  
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