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荷物の安否も気になったが、私はオジサンに同情した。
もう、体力の限界だったのかも…
見てられないよ…許してあげて…
だが私の予想に反して、金髪くんから発せられたのは
「ケガしてない?」
という、オジサンを労わる言葉だった。
「あ、ありません」
オジサンは、みるみるうちに目と鼻が赤くなり、瞳が潤んだ。
オジサンも怒られる覚悟をしていたのだろう。意表をついた優しい言葉が沁みたようだった。
いい子だぁ…
私まで心がじんわりと温かくなった。
「大変申し訳ありません。中のモノに破損がないかご確認いただけますか」
金髪くんは丁寧に頭を下げてから、本当に申し訳ないといった表情で落とした段ボールを私に差し出した。
オジサンと、金髪くん、そして私の視線がその段ボールへと向けられた。
段ボールには乱雑な字で "雑誌・ガラクタ" と書かれてあった。
───へ?…ガラクタ!?
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