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えぇっ?何、なんで?どうして?
まさか、彼女を連れ込んでいた…とか?
そういえば、部屋の中を気にしていたっぽかったな…
けど、女物の靴なんてあった?
いやいや、息子の玄関の靴までチェックなんかしないし!
こんなことってある?
一星の部屋の前で、私は考えをめぐらせて困惑する。
足元を通り過ぎる風は今朝より冷たくなり、湿気を含んでいた。
そうですか、そうですか~…
はいはい。邪魔者は退散しますよ…
何よ、母をなんだと思ってるんだ!
私は、玄関のドアノブに作り置きおかずの入った袋を引っ掛けた。そして大きくため息をついて、感傷にひたりながらトボトボと階段をおりた。
車に乗り込んだところで、ポツリポツリと雨粒がフロントガラスを弾いた。
いつものぶっきらぼうな態度だろうが、当たり前に出迎えてもらえると思っていた。まさか追い返されるなんて!?
エンジンをかけた途端、悲しみと怒りが混ざったような、なんとも言い難い気持ちになった。
帰り道、信号待ちをしていると、隣にたくさんの園児を乗せたバスが停車した。
園児服を着た子たちが、各々に好きな方を向いて座っているのが見えた。
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