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サクラサク。
まだ肌寒い春の日。息子の一星が、第一志望の大学に合格した。
高校受験では、つかみ取れなかった第一志望校の合格。
その悔しさをバネに頑張ってきた三年間を私は知っている。思うように模試の結果が出なくてヤキモキしていた姿も見てきた。だから、合格を知らされた時、私は感極まって泣いてしまった。
一星はふだん、口数少なく、あまり感情を表に出す子ではないのだが、この時ばかりは瞳に涙をためて、笑顔でハイタッチ。
久々に触れた息子の手は、すっかり大人の男の手で力強かった。
志望校の合格。それはすなわち、一星がこの家を出ていくということだ。
一星が通う大学は、ここから特急列車で二時間弱。毎日通うには遠すぎるのだ。
大学合格は嬉しいが、一星が家を出るという事実が急に現実味を帯びて、私は一人、寂寥感に襲われる。
いつかこんな日が来ること
わかっていたはずなのに…
はずなのに…
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