始まりの期待

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今夜は豪が手作りのチャーハンを振舞うというので、咲も一緒にキッチンに立ちサポートした。 神谷家の男たちは料理が得意でないため、男性はシェフでもない限り、料理が下手だと思い込んでいたが、豪は野菜のカットも炒める作業も手際が良く、普段から調理しているのがわかる。  豪は、ご飯にごま油を混ぜておけば、お米がパラパラになるという裏技も披露し、咲を感激させる。 どうしても、彼女の作るチャーハンは毎回べちゃっとなってしまうのだ。 夏樹は料理をちっともしないくせに、咲がチャーハンを作る度に、店で食べるようなパラパラなやつが食べたいと言うので、次回実践するぞと、密かに意気込んだ。  ネギと卵と厚切りにしたベーコンのチャーハンとわかめスープができあがると、冷めないうちに、二人はいただきます、と手を合わせて食べ始めた。 「これ、すっごく美味しいです。お米パラパラでお店で出せそうなくらいです、すごい!」  チャーハンは、塩コショウと醤油のみのシンプルな味付けなのに、咲が作るものよりずっと美味しい。
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