8. エリート貴公子の甘い執着愛

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そのとき、コンコンとドアをノックする音がする。 「テオ…あっ、ごめんなさいお取り込み中でしたか?」 「いいえ、私の用事はもう済んでおります。それでは失礼致します」 セトは僕とアンゼリカそれぞれに一礼をして部屋を後にする。 「おいで、アンゼリカ」 僕はデスクから彼女の元へと進むと、アンゼリカは手いっぱいに持った花を見せてくれる。 「とても綺麗だね」 「はい、お部屋に飾りたいなと思うんですけどいいですか?」 「もちろん」 僕は、上機嫌で花瓶に花をいける彼女を見つめる。 この屋敷で何か役に立つことをしたい。 そう望む彼女に、僕は庭の手入れを頼むことにした。 もちろん庭師はいるが、彼女専用の花壇を作りそこで僕の部屋やダイニングなどにいける花を育ててもらっている。 最近は家庭菜園をしたいといって、野菜も育て始めているらしい。 「花や野菜の世話は楽しいかい、アンゼリカ」 「はい、とっても!」 危ないことはしてほしくないし、できれば安全な場所にいてほしいのが本音だけれど。 生き生きとした笑顔は、あの夏の日に初めて会った日の天使の笑顔そのもので、僕は何も言えなくなってしまう。 ―――あぁ、やっぱり彼女は狡い。 僕はアンゼリカのそばに歩み寄ると、正面から肩を抱いてキスをする。 「テ、テオ…!?」 こういう間柄になってしばらく経つのに、彼女は未だに顔を赤くして初々しい反応をするものだから、僕はついもっとと求めたくなってしまう。 アンゼリカの耳にキスをして、そこから首筋、胸元へと唇を辿りなぞっていく。 僕の腕に縋りつき声を堪える姿に煽られながら、僕はその白い肌に軽く吸い付き、細い背中に腕を回して抱きしめた。 アンゼリカ、僕の最愛の天使。 せめて二人でいるときは、君の居場所は僕の腕の中だけでいい。 「愛しているよ、アンゼリカ」 Fin.
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