4. 貴公子の独白〜テオドールSide

6/7
前へ
/55ページ
次へ
祖父の死後、父がバロンフォード公爵を継いだが、僕は早くその地位を手に入れたかった。 そのためには何でもした。 父の名誉を貶めるために裏社会と繋がって信頼を手に入れ、暗躍し、父を嵌めて公爵位を剥奪させて破滅させ―――僕は若干20歳ですべてを相続した。 やっと、やっとだ。 ようやくアンゼリカを探せる、迎えに行くことができる。 ようやく、アンゼリカの行方が掴めたのが半年前。 ボードウィン伯爵家で働いているという情報を手に入れたけれど、あと1歩遅く、アンゼリカはボードウィン家から去っていた。 また振り出しかと落胆していたとき、裏の情報筋から気になる情報がもたらされた。 『そういえば昨日、この辺りじゃ珍しい青い目をした女の子が売られてきたよ』 年齢も、目以外のその他の容姿も、記憶の中のアンゼリカと似ていた。 そして僕は初めてあの地下で開かれる闇オークションに参加できるよう裏で手を回してもらい、あの場所に足を踏み入れた。 そしてついに―――見つけた。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

408人が本棚に入れています
本棚に追加