4. 貴公子の独白〜テオドールSide

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◇◇◇◇ 「それじゃあここからここまで、すべて貰うよ。あぁ、この1着だけは今持ち帰るからすぐに包んで。残りは屋敷に送るよう手配してくれ」 「かしこまりました…!」 僕は顔なじみの店員に指示をすると、ラッピングされていく1着のドレスを見つめる。 「テオドール様、今日は随分と機嫌がよろしいようですね」 「あぁ、今日やっと『面倒な仕事』が一つ片付いたし、帰ったら可愛い天使が待っているからね」 レースとシフォンがたっぷり使われたドレス。 きっとあの愛らしいアンゼリカによく似合うはずだ。 「これを私に…?」 「そうだよ、うん、やっぱり君の白い肌によく似合うね」 仕事と買い物を終えて屋敷に戻り、出迎えてくれたアンゼリカに包みを渡すと、彼女は目を丸くした。 驚く彼女を急かすようにして包みを開けさせる。 ドレスを体に当てているのを見て、やはり自分の見立ては正しかったと自然と笑みが深くなった。 「あの、でももうたくさんドレスをいただいているのに…」 「そんなこと気にしなくていいんだよ。僕がプレゼントしたいんだから」 恐縮する彼女をドレスごと抱きしめて、ちゅっとわざと音を立てて頬にキスをする。それだけで腕の中で真っ赤になってしまう彼女が愛おしい。 「大好きだよ、僕の可愛いアンゼリカ」
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