1. 最低で最良の日

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「…珍しい瞳の色だね。この王都ではほとんど見ない深い藍色だ。でも光の加減で複数の輝きが見える。まるで星が瞬いているみたいに」 私はその言葉に震えて喉が渇く。 この目の色――それが私がここに売られてきた理由の一つでもあったから。 「ちなみに出身はどこ?」 「…ノートン地方のアスバル領です」 「あぁ西の方だね。いつ頃までいたか覚えている?」 「8年前まで…」 「そう」 男性が私の顎から指を離すと、私は金縛りが解けたみたいに力が抜けて思わず息をついた。 「ふぅん…やっぱりほぼ当たりかな」 「え…?」 聞こえてきた言葉に首を傾げるも、男性はそれには気づかなかったように笑顔を作る。 (私の、聞き間違い…?) 「うん決めた。今日のオークションは君を一番にするよ。さっそく競売人に伝達してこないと。君はこのままここをまっすぐ行って。そうしたらカミラって女性スタッフがいるから、後のことは彼女の指示に従うように」 「あ、あの…」 「今日は君にとって最良の日になるよ、たぶんね」 そう言うと手をひらひらとさせて立ち去っていってしまった。 (最良の日って…どういうこと?) 闇オークションで売られる日が最良の日だなんて。そんなことあるわけがないのに。
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