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7. 呼び起される記憶
私が回復するまでの間、ジェニーが何度か私のお世話をしてくれた。
実はジェニーも、ある地方で栄えた資産家の娘だったのだそうだ。
けれど家族が事業に失敗して無一文になり、それ以来メイドとしていろいろな屋敷を点々とし、時には酷い扱いを受けたこともあったのだという。
私はジェニーが似た境遇だったことに驚いた。
そして、その似た境遇の私が、公爵家の当主に見そめられて婚約したと聞いて激しい嫉妬に駆られたのだと泣きながら明かしてくれた。
私たちは抱き合って慰め合って、そして友達になった。
「君は本当に優しすぎるしお人よしだね」
そう言って呆れるように笑っていたけれど、ジェニーを解雇せずに雇い続けることを約束してくれて、テオドールさんも十分優しいしお人よしだと思った。
「それは違うよ、僕は優しいんじゃなくて君に甘いだけ」
そう嘯くけれど、私はテオドールさんは優しい人だと思う。
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