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私がそう言うと、後ろから私の肩口に押しつけるように顔を埋める。
「本当はね、この本を見せてしまおうかと何度も思ったんだ。
でも、もしそれでもダメだったら…君の記憶が戻らなかったらと思うと怖くてできなかった」
私を抱きしめる腕が、声が、震えている。
「たとえ記憶が戻らなくても、僕は今の君を心から愛している。でも……あの頃の、君との思い出はとても大切で宝物だから…」
テオドールさんは手を解くと、ゆっくりと私を振り返らせた。
私たちは正面から向かい合う。
「だから、思い出してくれて嬉しい」
テオドールさんのはにかむような笑顔に、私は胸が苦しくなる。
「だから…この部屋の本を読むようにと言ったんですか?私がこのラピスラズリ・テイルに気づくように?」
「そうだよ。前から僕の部屋の本は自由に読んでいいって言っていたのに、君はずっと書庫の本ばかり読んでいるからああやって提案するしかなかった」
「ごめんなさい…」
「いいんだよ。ねぇアンゼリカ。本当に全部思い出したの?」
私を覗き込むはちみつ色の瞳に私が映る。
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