3 出会い

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 気色ばむ母親を取りなすように、武雄が穏やかに言う。『確かに一理ある。写真だけでも慰謝料を獲得できるよう全力を尽くしますよ』  そして壱成に顔を向け『お前はお嬢さんを休ませてやれ。こちらは具体的な話を進めておくから』と退室を指示する。壱成は由依の腕を掴んで立ち上がらせ、ひとまず休憩室に連れていった。その途中、由依はとうとう『……ひっく』としゃくりあげたかと思うと、ぼろぼろと大粒の涙をこぼし始めた。  泣いている女の子の慰め方なんて知らない。壱成はとにかく由依をソファに座らせ、自販機でフルーツジュースを買って渡してやった。由依は大人しくボトルを受け取って、縋るように胸に抱きこんだ。  二人の他に誰もいない休憩室に、由依のすすり泣きだけが響き渡る。弱り果てた壱成が壁にもたれて腕を組んでいると、ぽつりと小さな声が聞こえてきた。 『……お母さんとお父さん、離婚すると思いますか』  由依だった。まだ涙に濡れた顔を持ち上げて、壱成を見つめてくる。赤くなった目元が痛々しく、壱成は知らず壁から背を離していた。 『少なくとも、御母堂はそのつもりのようだ』
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